米田組の7days。
街をゆき 子供の傍を 通る時 蜜柑の香せり 冬がまた来る
木下利玄
朝ベットの中で、起きようとしたらお腹がグルグル・・・♪と鳴る。「昨日寝しなに食べたカスタードが具合悪かったかな・・?」と思いながら起床。
居間に降りて、石油ストーブに点火。何故か・・・石油ストーブも灯油を吸い上げる音が、グルグル・・・♪と鳴る。
「俺のお腹と一緒やなぁ・・。」(苦笑)
他日、出勤しようとしたら、台所でコネコネ・・・♪とリズミカルな機械の振動音が聞こえてくる。どうやらパンこね機が動いているらしい。
「♪コネコネコネコネ・・・♪♪」と口ずさみながら出勤。
今度は、週明けに出勤すると社屋の床がピカピカ・・・♪ しばし満足感と共に見とれる。
先の土曜日に社屋の床のワックスかけの日で、最終退出者の私が最後の工程の勝手口のワックスをかけて帰ることに・・。丁度グランドのレーキかけの要領。当日は昼間は川北で社内の有志で植樹、夕刻はワックスかけと忙しい一日であった。
グルグル・・♪コネコネ・・♪ピカピカ・・♪そんな言葉の多い今日この頃です。
夕刻会社に帰りますと、弊社で管理しているユーミーマンションの共用部の掃除をしているSさんとAさんが食い入るように入居者の方のアンケートを見ておられました。ちょっと二人に近寄れない雰囲気でした。
「清掃についてご意見をお聞かせ下さい」の欄があり、「満足」「やや満足」「普通」「やや不満」「不満」まで5段階で評価して頂くようになっています。
現在で約150部程度(昨年度回収230部)返ってきており、生々しいご意見が書かれております。
「定期的に清掃して頂いておりますが、もう少し廊下や階段の天井の蜘蛛の巣をしっかり取ってもらいたい。」
「自転車置き場の汚れが気になります。ゴミステーションも住人のモラルの問題もありますが、汚れていることが多いです。その他はいつも綺麗にして頂いています。」
「ゴミの出し方などもっと徹底してくれるよう、呼びかけて欲しい。迷惑駐車も多い。」
「台所のキッチンの水道から水が少し漏れている。出来れば修理してもらいたい。」
「掃除の頻度を週1回にして欲しい。」
「空き地の草を何とかして欲しい。」
「電球の取り替え等直ぐに来てくれる。」・・・等々。
・・・
現在の結果は「清掃について」は「満足・やや満足」が61%(昨年55%)、「やや不満・不満」が10%(昨年18%)です。
「米田組の管理対応について」は「満足・やや満足」が71%(昨年68%)、「やや不満・不満」が3%(昨年6%)です。
毎年入居者アンケートを行っており、厳しい指摘もあり読むのも苦しいときもありますが、「お客様のご意見」が我々に「有無を言わせず」進路を示してくれます。
いい訳は一切通用しません。すっきりしていいですね。
夕刻会社に帰ってきますと、某役員が妙な仕掛けを作っておりました。
「ええのできましたなぁ。・・うまくいったらええなぁ。」
「ええ。」(笑)
翌朝、掃除の時間に
「うまくいきましたか?」
「上手に行きましたで・・。」
隣の保育所さんの桜の木の落ち葉止めでした。毎朝毎朝某役員が根気よく掃きます。桜の花弁が散る頃も、なかなか風情があっていいものです。
このときも根気よく掃きます。
「春はもっと細かい網はろか・・・。」と話しておりました。
外の掃除をして社屋を見上げますと、なにやら社屋の窓に白い物が動いています。
「・・・あやしい・・。」
別の役員が、マグネットにぞうきんのついた器具で窓の外側を拭いておりました。
下から声をかけました。
「あぶないで。おちんときなよ・・。」
何事も創意工夫ですね。
週末は京都でとある勉強会の3回目の同窓会があり行ってきました。4年前に同世代の経営者8名で1年間共に学びました。上七軒の鳥料理屋で開催しました。
「材料評価損が・・・。」「仕事量が減って・・。」等と、海の向こうの金融危機が日本の実体経済にも及んできて、メンバー各々ご苦労されています。しかしながら、同世代の気兼ねのない仲間同士で、プライベートの話題も含めて大いに盛り上がりました。
翌朝、メールをチエックしますとJMM(Japan Mail Media 村上龍氏主催)からメールマガジンが着ており、冷泉彰彦氏の「まぶしい日本」と題した、小文が書かれておりました。
冷泉氏は米国ニュージャージー州在住で、時代を定点観測してエッセイを書かれております。いつもは中まで読みませんが、題に惹かれ全文を読みました。今の米国から見たら「ひたすらまぶしく見える」日本の状況が書かれておりました。
1.暗黒の1週間の中で、モルガンスタンレー証券に唯一資本を出したのが、日本の東京三菱UFJ銀行であった。報道の論調によると、あの株価暴落の状況の中では、その出資の取引は反故にされても、「致し方のないこと」であった。彼らはそれを引き起こしたのは、自分たちということも「骨身にしみて」知っていた。「逃げられても恨まないから」と祈るような気持ちで見守る中、「金は振り込まれた」。恐怖に立ち竦む米国の中で「他人の誰かかが自分たちを救ってくれる」「地獄に仏」「絶望の中の一点の光」とはそのことで、その状況が克明に大きくCNNやCNBCに報じられた。
80年代の90年代の円高期に松下電器産業〈現パナソニック)ガMGMを、ソニーがコロンビア映画を、三菱地所がロックフェラーセンターを買収したときは「金で米国の魂を買う」と大きくバッシングを受けた状況とは違う。日本は金融危機や信用収縮の洗礼を受けた先輩や同士として取り扱われている。
2.同時進行で進んでいる「デトロイトのビッグスリーの崩壊」も同じような論調である。米国は「自動車産業は日本の自動車産業に完全に敗北した。」事実をを認めている。ビッグスリーに対する資本提携等報じられるのは、唯一日産=ルノー連合だけであり、「トヨタなり本田は恐れ多くて軽々しく支援云々などとは、噂できない。」といった雰囲気である。
「もしオバマ氏が大統領に当選したときは日米関係がどうなっていくか?」の命題に「日本は政権を維持し危機を乗り越えていくための重要なパートナーとなっていく。」と論じられております。その理由は、
1.オバマ氏の支持層の 40代以下の世代にある「ク-ルジャパン」(かっこいい日本)の感覚。まず17歳で運転免許を取得したときに、燃費や性能から日本車をチョイスした世代。彼らはポケモン・ニンテンドー・アニメ・日本のホラー映画世代である。オバマ支持のムーブメントの背景には、白人至上主義・勧善懲悪二言論への反発。その中での日本文化の意識のされ方は、日本で想像できないほど大きい。
2.金融の問題で「米国が加害者であり欧州は被害者」といった、欧州の感覚があり、米国としては欧州に頭を下げたくない。 環境の問題についても、欧州に教えを乞うたり、欧州の後塵を拝するのはいや。
その中で、日本が米国のパートナーとして、欧州よりもしっくりくる。 「ジャパンバッシング」「ジャパンパッシング〈日本素通り)」の時代にあった、「どうせ日本は期待されていないから、期待されるのはお金だけでしょ。」といった屈折した感覚は、全くのお門違い。米国に言うべきことはどんどん言う、同盟関係が期待される・・云々。
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仏の「ル・モンド」紙に「サムライの復讐」(ピエール=アントワーヌ・デロメ)と題して、話題になった論説があります。(10/5)
1.日本の銀行は世界中でおそらく唯一、サブプライムという毒を味わわなかった。1990年代の心象的外傷を未だ乗り越えていなかったのである。成長性や経済的魅力がない国とはいえ、知識や技術革新の社会の中で、ロボット工学は世界一、研究開発費も高水準にある。人口1.28億人の日本が人口24億人の中国と印度以上を生産し続けている。経済水準は世界第2位と長らくアジア最強国に留まり続けている。
2.失われた10年後、日本は復活しつつある。しかし世界中がそれを無視している。そうしてはならない。巨大な投機バブルから立ち直った国日本。西洋にとっての希望である。
丁度、翌日が日本の小林誠、益川敏英、南部陽一郎の3氏がノーベルの物理学賞を受賞のニュースが入った日であり、タイミングも良かったように思います。
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実は、私自身も考えていたことですが、この未曾有の金融危機の中で「日本は恵まれている・・・。」と思っていました。
金融も幸い大きく傷ついていないし、食べ物は概ね安心だし、保健・年金制度は危機といわれながら、今のところ機能しているし、働こうと思えば、働けるし・・・、社会的に解決していくべき問題は多々 ありますが、・・・私自身は「日本は恵まれている。」とつくづく感じています。
必然的に日本の世界でのプレゼンスや果たすべき役割が大きくなっていくのではないかと密かに思っております。
・・・「まぶしい日本」・・そんな言葉に同感いたします。
(photograph by Akiko)