蛍(ほたる)

自然

梅
とある夜、久しぶりに自転車で帰宅しました。家まで15分余りかかります。

「前回自転車で会社に来たのは何時やったかなぁ・・・。遠い昔やなぁ・・。止めると全然のらんし・・。フー。」(嘆息)

法川を越えようとしたところ、堤防になにやら虫取り網をもった子供の影法師が・・。

「!」

自転車を止めたら川にゆらゆらと蛍が飛んでおりました。

会社の近所を流れている法川には蛍が初夏の風物詩として舞います。

一昨夜も遅い時間に親しいお客様がPCの相談に会社にお見えました。見送りがてら会社の中庭に出て、冗談を言っておりました。

何かカイズカの植え込みでかすかに光る物があるので行ってみますと「・・・あらら・・蛍が・・・。」カイヅカの中におりました。風で流されてきたんでしょうね。

花鳥風月・・も良いものですね。

写真は会社の植え込みでとれた梅です。我が家で梅干しにします。

   青梅に 眉あつめたる 美人かな  蕪村

煙雨

自然

茅の台 煙雨
市内の分譲地で住宅の地鎮祭がありました。あいにくのそぼ降る雨に新緑が煙っておりました。

「大神様にお祭りし・・・。今日の雨は恵みの雨・・。鍬入れのエイ!エイ!エイ!のかけ声は・・当家の弥栄(いやさか)を祈る栄のエイ・・。」(宮司さんご挨拶)

「雨降る中ではありましたが、靄(もや)がかかり神聖な雰囲気の中で地鎮祭が出来ました。」(担当者日報)

ご夫妻・かわいいご子息と関係者一同心をひとつにして工事の無事を祈りました。

分譲地からの小雨に煙る水田の眺めは「瑞穂の国」にふさわしい美しい風景でした。新緑みずみずしい山の端に煙雨たなびく様は一幅の絵のようでもありました。

年々歳々、季節の移り変わりを味わうようになり、自分がこの美しい風土にとけていくのを感じます。

  美人系の 朱線引かばや 燕(つばくらめ)      碧梧桐

秘すれば・・

自然, 芸術

牡丹旧社屋 紫
休みを取って北海道に行って来ました。道東を巡る旅で阿寒湖や霧多布湿原・大雪山系の山々の雄大な自然の眺めを楽しんできました。

数日ぶりに出社しますと中庭の八重桜が満開で、一昨年(おととし)旧社屋に20株ばかり植えた牡丹が一斉に咲き始めていました。寒肥えを撒きましたので元気よく咲いているように思います。

お客様の○○さんが奥様とお見えになり、(牡丹の苗を頂いたり寒肥の連絡を頂きました。)

「米田君、牡丹が咲き出したでぉ・・。いけ方教えたろか・・。」

ということで鋏を片手に花壇?に行きました。

来年咲かせるために2枝ほど残して切るそうです。切り口は火であぶり炭化させると長持ちするそうです。(考えただけで熱そうですが・・!)

「牡丹はあまり目立つように植えんほうがえぇ・・。中庭にちょっと覗いたらあるくらいがよい。華やかな花やでのぅ・・。」

    ・・・・・

会社の帰路、路上でばったり以前お宅を建てて頂いたご近所の奥様にお目にかかり、牡丹を手渡しました。

「まぁ、嬉しい・・・・。」(笑)

自転車で持って帰っていただきました。

先週の日曜にも畑にキュウリやトマトを初めて植えました。花をいじったり、そんな時間が楽しいように思います。先代も熱心に畑をやったり木を植えたりしておりましたが、自分の「時間の調節」をやられていたんだろなぁ・・と思います。

         秘すれば花なり、秘せずば花なるべからず       「花伝書」別紙口伝 世阿弥

牡丹白入り口アップ

海棠(かいどう)

お客様, 自然

海棠
春のある日、知人から

「庭の海棠が咲いたので、食事に来ませんか?」とお誘いを受けました。会社のお客様である○○さんと宵の口にお訪ねしました。

二階の座敷からの中庭のピンク色の海棠の花びらの眺めが見事でした。座敷の床の間には書院もついており、欄間も凝った造りでした。

○○さんが、

「この欄間は近江八景を描いてありますね・・。これが瀬田の唐橋・・これが彦根城・・これが三井寺の晩鐘・・これが矢橋の帰帆・・これが堅田の落雁(雁が降り立つ様)・・石山寺の秋月・・浮堂・・紫式部がここらで源氏物語を書いたのではないですか・・?桐の目を使って霞たなびく様を表しています。・・・隠し絵に万年亀と鶴が入っていますね・・。」

「へ~え??」(パチクリ)

「中国の湖南省の洞庭湖の瀟湘八景が本歌(おおもと)です。中国の景勝の地です。」

「へ~え??」(パチクリ)

「そういえば神奈川県にも金沢八景と言う地名がありますね・・・。富嶽三十六景も・・・。」

「書院も電球の替え球みたいなものを置かず、硯と筆くらい置いてもらわんとあきませんな・・。」

「は~い。」(小声)

そんなお話を聞きながら春の宵は暮れていきました。

   外にも出よ 触るゝばかりに 春の月     中村汀女

紅匂う(くれないにおう)

自然

しだれ梅Ⅰ

数日来の寒さの中、春が確実にやってきております。梅の花や連翹(れんぎょう)がとても華やいで見えます。桜の開花も間近です。

会社の中庭のしだれ梅も満開になりました。

以前に御世話になっている信用金庫の理事長さんをこの時期にお訪ねしました。

「米田さん。桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿といいましてな・・・。」とお話し頂きました。村夫子然としたご風貌と春風駘蕩たるお人柄を懐かしく思い出します。

若年の頃、湯川秀樹博士の自叙伝を読みました。序章の最後の一行に生家のことを

「・・歳ごとに紅梅の美しくにおう家であった。」と書いてあり「非常に美しい文章・・」と感じたことがあります。

間もなく、梅の花弁が、散りゆく様を眺めるのも良きものです。しばらくは春の訪れを楽しみたいと思います。

春雨の ものがたりゆく 蓑と傘           与謝蕪村